2016年11月26日
廃れた街、栄えた街〜近現代日本における市町村人口順位の変動について〜  月瀬 まい


はじめに
 日本の近現代は、激動の時代であった。
 その激動のなかにあって、諸都市の人口も大きく変動した。よく知られたところでは炭坑都市の盛衰が挙げられよう。明治後期から高度経済成長期にかけて膨大な人口を擁した各地の炭鉱都市は、エネルギー革命による炭鉱の衰退と運命をともにし、小都市のなかに没していった[1]
 ここでは、近現代日本の諸都市の人口変動を追ってみる。人口変動を見ることで、国策、産業、資源によって翻弄されていった日本の諸都市の姿が見えてくるのではないだろうか。 明治以降の約150年間を以下に分けて扱う。
(1) 明治前期
明治維新直後から市制・町村制施行まで。
『日本地誌提要』より1873年の、『共武政表』より1875、1880年の、『市街名邑及町村二百戸以上戸口表』より1887年のデータを用いた。
(2) 明治後期
1889年に市制・町村制が施行され、現在の市町村に連なるかたちの市町村が誕生した。そこから明治の終わりまでを扱う。
内務省告示の現住人口表より、1889年、1893年、1898年、1903年のデータを用いた。
(3) 大正期
国勢調査開始以前を扱う。
内務省告示の現住人口表より、1908年、1913年、1918年のデータを用い、比較のため1920年の第1回国勢調査のデータも用いた。
(4) 戦間・戦中期
国勢調査開始より終戦の前までを扱う。
1920年、1925年、1930年、1935年、1940年の国勢調査のデータを用いた。
(5) 戦後復興期
昭和の大合併が行われた時期である。
1945年の人口調査と1947年、1950年、1955年の国勢調査のデータを用いた。なお1950年から1970年まで、米軍統治下の沖縄では独自に国勢調査が行われた[2]
(6) 高度経済成長期
1960年、1965年、1970年、1975年の国勢調査のデータを用いた。
(7) 安定成長期
1980年、1985年、1990年、1995年の国勢調査のデータを用いた。
(8) 平成期
平成の大合併が行われた時期である。
2000年、2005年、2010年、2015年の国勢調査のデータを用いた。

本編
第1章 全国
第2章 北海道
第3章 東北
第4章 関東
第5章 北関東
第6章 南関東
第7章 北陸甲信
第8章 東海
第9章 近畿
第10章 山陰・山陽
第11章 四国
第12章 九州

おわりに
 人口分布は社会を映す鏡の一つである。現在発生し、また今後発生するであろうさまざまな社会問題も、今後の市町村人口に反映されることだろう。
 もし人口に興味を持たれたならば、ぜひ諸地域の人口統計を確認してみてほしい。きっと新たな発見があるはずだ。人口データの出典は冒頭に記載した。すべてネット上で閲覧が可能である。


    注釈
  1. ^ 例えば北海道夕張市は1960年に107972人の人口を有していたが、2015年には僅か8845人となった。
  2. ^ 国勢調査は通常10月1日に実施されるが、1950年、1955年、1960年の沖縄では12月1日に実施された。

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