2016年11月26日
廃れた街、栄えた街〜近現代日本における市町村人口順位の変動について〜  月瀬 まい


第1章 全国

 1.明治前期
地誌提要 明治6年
人口順位 府県 都市 人口
1 東京府 武藏国 豊島郡/荏原郡/葛飾郡 東京 595905
2 大坂府 摂津国 東成郡/西成郡 大坂 271992
3 京都府 山城国 葛野郡/愛宕郡 京都 238663
4 愛智県 尾張国 愛智郡 名古屋 125193
5 石川県 加賀国 石川郡/河北郡 金沢 109685
6 広島県 安芸国 沼田郡 広島 74305
7 神奈川県 武藏国 久良岐郡 横浜 64602
8 和歌山県 紀伊国 名草郡/海部郡 和歌山 61124
9 宮城県 陸前国 宮城郡 仙台 51998
10 名東県 阿波国 名東郡 徳島 48861
11 山口県 長門国 阿武郡 45318
12 琉球藩 琉球国 - 首里 44984
13 新川県 越中国 新川郡 富山 44682
14 白川県 肥後国 飽田郡 熊本 44620
15 兵庫県 摂津国 八部郡 兵庫・神戸 40900
16 足羽県 越前国 足羽郡 福井 39784
17 高知県 土佐国 土佐郡 高知 39757
18 堺県 和泉国 大鳥郡 38838
19 秋田県 羽後国 秋田郡 秋田 38118
20 島根県 出雲国 島根郡 松江 37808

共武政表 明治8年
人口順位 府県 都市 人口
1 東京府 武藏国 豊島郡/荏原郡/葛飾郡 東京 830917
2 大坂府 摂津国 東成郡/西成郡 大坂 271992
3 京都府 山城国 葛野郡/愛宕郡 京都 226134
4 愛知県 尾張国 愛智郡 名古屋 109982
5 石川県 加賀国 石川郡/河北郡 金沢 109685
6 鹿児島県 薩摩国 鹿児島郡 鹿児島 89374
7 広島県 安芸国 沼田郡 広島 66906
8 神奈川県 武藏国 久良岐郡 横浜港63064
9 和歌山県 紀伊国 海部郡/名草郡 和歌山 61105
10 宮城県 陸前国 宮城郡 仙台 51998
11 名東県 阿波国 名東郡 徳島 48861
12 白川県 肥後国 飽田郡 熊本 44619
13 新川県 越中国 新川郡 富山 40538
14 敦賀県 越前国 足羽郡 福井 39784
15 鳥取県 因幡国 邑美郡/法美郡 鳥取 37796
16 静岡県 駿河国 安倍郡/有渡郡 静岡 37724
17 堺県 和泉国 大鳥郡 36457
18 島根県 出雲国 島根郡 松江 36102
19 置賜県 羽前国 置賜郡 米沢 34911
20 秋田県 羽後国 秋田郡 秋田 33142

共武政表 明治13年
人口順位 府県 都市 人口
1 東京府 武藏国 北豊島郡/南豊島郡/
荏原郡/南葛飾郡
東京15区 712259
2 大坂府 摂津国 東成郡/西成郡 大阪4区 292636
3 京都府 山城国 葛野郡/愛宕郡 京都2区 236032
4 愛知県 尾張国 愛知郡 名古屋 117421
5 石川県 加賀国 石川郡/河北郡 金沢区 108328
6 広島県 安芸国 沼田郡/安芸郡 広島区 749505
7 神奈川県 武藏国 久良岐郡 横浜区 72630
8 和歌山県 紀伊国 海部郡/名草郡 和歌山区 58239
9 宮城県 陸前国 宮城郡 仙台 54496
10 兵庫県 摂津国 八部郡 神戸区 48786
11 富山県 越中国 婦負郡/上新川郡 富山町 47188
12 福岡県 筑前国 早良郡/那珂郡 福岡区 46363
13 熊本県 肥後国 飽田郡 熊本区 41949
14 福井県 越前国 足羽郡 福井駅 41731
15 堺県 和泉国 大鳥郡 41367
16 徳島県 阿波国 名東郡 徳島 39140
17 新潟県 越後国 中蒲原郡 新潟町 37016
18 静岡県 駿河国 安倍郡/有渡郡 静岡 36457
19 島根県 因幡国 邑美郡/法美郡 鳥取 36212
20 島根県 出雲国 島根郡/意宇郡 松江 35349

戸口表 明治20年
人口順位 府県 都市 人口
1 東京府 武藏国 東京 1121883
2 大阪府 摂津国 大阪 361694
3 京都府 山城国 京都 245675
4 愛知県 尾張国 名古屋区 131492
5 石川県 加賀国 金沢区 97653
6 宮城県 陸前国 仙台区 91709
7 神奈川県 武藏国 横浜区 89545
8 広島県 安芸国 広島区 81914
9 兵庫県 摂津国 神戸区 80446
10 徳島県 阿波国 名東郡 徳島 57456
11 和歌山県 紀伊国 和歌山区 54868
12 富山県 越中国 婦負郡/上新川郡 富山 53556
13 北海道 渡島国 函館区 45477
14 鹿児島県 薩摩国 鹿児島郡 鹿児島 45097
15 熊本県 肥後国 熊本区 44384
16 大阪府 和泉国 大鳥郡 44015
17 福岡県 筑前国 福岡区 42617
18 新潟県 越後国 新潟区 40778
19 長崎県 肥前国 長崎区 38229
20 愛媛県 讃岐国 香川郡 高松 37698

 まず全国の推移を見る。上位20都市を載せた。
 なお初めに断っておくが、国勢調査以前のデータは信頼度が低い。実地調査によらないデータであり、1871年の壬申戸籍から変動分を足し引きして得られた数値であるためである。さらに市制・町村制以前のデータは信頼できない。市制・町村制以前は都市の範囲が曖昧であり、市街地が連接している村々を各調査によって含めたり含めなかったりしている場合があるためである。相当の誤差があると理解したうえで見てほしい。
 最初に挙げるのは明治6年(1873年)、『日本地誌提要』のデータである。一部明治八年『共武政表』と同じ数字になっていて[1]信頼度がやや低いがご容赦願いたい。
 江戸時代の人口順位をまだ色濃く残しており、金沢、和歌山、萩など大藩の首府が上位に来ているのが目立つ。なお、上位3都市の東京、大阪、京都はこの時期を通じて不動で、名古屋と金沢が後を追うかたちとなっている。また、横浜、神戸、長崎、新潟といった開港都市が着々と人口を伸ばしている。

 2.明治後期
現住人口 明治22年
※北海道と沖縄県は対象外
人口順位 庁府県 市区町村 人口
1 東京府 東京市 1378132
2 大阪府 大阪市 473417
3 京都府 京都市 279165
4 愛知県 名古屋市 157505
5 兵庫県 神戸市 134901
6 神奈川県 横浜市 122143
7 石川県 金沢市 94407
8 宮城県 仙台市 86505
9 広島県 広島市 83896
10 徳島県 徳島市 60144
11 富山県 富山市 57857
12 鹿児島県 鹿児島市 57750
13 和歌山県 和歌山市 56202
14 長崎県 長崎市 54635
15 福岡県 福岡市 51050
16 熊本県 熊本市 48587
17 大阪府 堺市 47883
18 岡山県 岡山市 47724
19 新潟県 新潟市 45861
20 福井県 福井市 40631
   現住人口 明治26年
※北海道と沖縄県は対象外
人口順位 庁府県 市区町村 人口
1 東京府 東京市 1278151
2 大阪府 大阪市 485331
3 京都府 京都市 316292
4 愛知県 名古屋市 188861
5 兵庫県 神戸市 153280
6 神奈川県 横浜市 152395
7 石川県 金沢市 90551
8 広島県 広島市 86246
9 宮城県 仙台市 67372
10 長崎県 長崎市 64452
11 徳島県 徳島市 60118
12 富山県 富山市 57830
13 熊本県 熊本市 56934
14 鹿児島県 鹿児島市 56321
15 福岡県 福岡市 55233
16 和歌山県 和歌山市 55152
17 岡山県 岡山市 50800
18 新潟県 新潟市 49033
19 大阪府 堺市 46199
20 福井県 福井市 42458

現住人口 明治31年
※北海道と沖縄県は市制町村制施行前
人口順位 庁府県 市区町村 人口
1 東京府 東京市 1425336
2 大阪府 大阪市 811855
3 京都府 京都市 351461
4 愛知県 名古屋市 239771
5 兵庫県 神戸市 214119
6 神奈川県 横浜市 193762
7 広島県 広島市 114231
8 長崎県 長崎市 106574
9 石川県 金沢市 81520
10 北海道 函館区 78040
11 宮城県 仙台市 75256
12 福岡県 福岡市 63422
13 和歌山県 和歌山市 63020
14 徳島県 徳島市 60668
15 富山県 富山市 59089
16 岡山県 岡山市 57170
17 熊本県 熊本市 55569
18 鹿児島県 鹿児島市 52956
19 新潟県 新潟市 52294
20 大阪府 堺市 49881
  

現住人口 明治36年
人口順位 庁府県 市区町村 人口
1 東京府 東京市 1803584
2 大阪府 大阪市 988200
3 京都府 京都市 379409
4 神奈川県 横浜市 324775
5 愛知県 名古屋市 284829
6 兵庫県 神戸市 283839
7 長崎県 長崎市 151727
8 広島県 広島市 113545
9 石川県 金沢市 97548
10 宮城県 仙台市 93773
11 北海道 函館区 84746
12 岡山県 岡山市 80140
13 北海道 小樽区 79361
14 福岡県 福岡市 70107
15 和歌山県 和歌山市 67908
16 徳島県 徳島市 62998
17 広島県 呉市 62825
18 新潟県 新潟市 58821
19 鹿児島県 鹿児島市 58384
20 富山県 富山市 56275

 前半2回は北海道と沖縄が調査の対象外であったことに注意。
 東京、大阪、京都の三大都市は崩れていないが、この時期にも開港都市の横浜と長崎が大きく成長して明治の終わりには横浜が京都に迫るほどになった。またこの時期、金沢、富山、鹿児島といった旧城下町の順位低下が既に始まっている。
 その結果、町村制以前には6位以内に入っていた金沢や仙台の順位が低下し、東京・大阪・京都・名古屋・神戸・横浜の「六大都市」が形成される。明治22年の段階では6位と7位の差は3万人弱に過ぎないが、この差が徐々に開いていく。軍港都市呉がランクインしたことも注目である。

 3.大正期
現住人口 明治41年
人口順位 庁府県 市区町村 人口
1 東京府 東京市 2168151
2 大阪府 大阪市 1217765
3 京都府 京都市 441465
4 神奈川県 横浜市 392870
5 兵庫県 神戸市 377208
6 愛知県 名古屋市 374146
7 長崎県 長崎市 175936
8 広島県 広島市 134617
9 石川県 金沢市 108682
10 広島県 呉市 92932
11 岡山県 岡山市 92631
12 北海道 小樽区 91281
13 宮城県 仙台市 91172
14 北海道 函館区 87298
15 福岡県 福岡市 79300
16 長崎県 佐世保市 78777
17 和歌山県 和歌山市 76852
18 北海道 札幌区 70075
19 徳島県 徳島市 65027
20 鹿児島県 鹿児島市 63640
   現住人口 大正2年
人口順位 庁府県 市区町村 人口
1 東京府 東京市 2033320
2 大阪府 大阪市 1387366
3 京都府 京都市 508068
4 愛知県 名古屋市 447951
5 兵庫県 神戸市 440766
6 神奈川県 横浜市 396101
7 長崎県 長崎市 160450
8 広島県 広島市 159000
9 石川県 金沢市 127267
10 広島県 呉市 119060
11 北海道 函館区 98885
12 宮城県 仙台市 97131
13 北海道 札幌区 96897
14 福岡県 福岡市 95423
15 北海道 小樽区 92830
16 長崎県 佐世保市 89936
17 岡山県 岡山市 86153
18 和歌山県 和歌山市 77095
19 鹿児島県 鹿児島市 75907
20 福岡県 門司市 71977

現住人口 大正7年
人口順位 庁府県 市区町村 人口
1 東京府 東京市 2331860
2 大阪府 大阪市 1633338
3 京都府 京都市 668930
4 兵庫県 神戸市 591393
5 神奈川県 横浜市 446097
6 愛知県 名古屋市 433701
7 長崎県 長崎市 197500
8 石川県 金沢市 156279
9 広島県 広島市 154326
10 広島県 呉市 140711
11 北海道 函館区 132622
12 宮城県 仙台市 115819
13 長崎県 佐世保市 114167
14 北海道 小樽区 102462
15 福岡県 福岡市 97157
16 新潟県 新潟市 96556
17 岡山県 岡山市 95364
18 北海道 札幌区 94568
19 鹿児島県 鹿児島市 92306
20 福岡県 八幡市 89472
  
第1回国勢調査 大正9年
人口順位 庁府県 市区町村 人口
1 東京府 東京市 2173201
2 大阪府 大阪市 1252983
3 兵庫県 神戸市 608644
4 京都府 京都市 591323
5 愛知県 名古屋市 429997
6 神奈川県 横浜市 422938
7 長崎県 長崎市 176534
8 広島県 広島市 160510
9 北海道 函館区 144749
10 広島県 呉市 130362
11 石川県 金沢市 129265
12 宮城県 仙台市 118984
13 鹿児島県 鹿児島市 103180
14 北海道 小樽区 103113
15 北海道 札幌区 102580
16 福岡県 八幡市 100235
17 福岡県 福岡市 95381
18 岡山県 岡山市 94585
19 新潟県 新潟市 92130
20 神奈川県 横須賀市 89879

 明治41年(1908年)、ようやく札幌がランクインする。また呉市が10位にまで順位を押し上げたほか、軍港都市仲間の佐世保市がランクインした。大正に入り、九州の玄関口で港町の門司市や製鉄所で有名な八幡市が登場。
 1920年の第1回国勢調査では、ほとんどの都市がそれまでの現住人口よりやや少ない数字となった。ここで神戸市が3位に入って江戸時代以来の三都の序列が崩れたほか、第3の軍港都市横須賀市が登場した。

 4.戦間・戦中期
第1回国勢調査 大正9年
人口順位 庁府県 市区町村 人口
1 東京府 東京市 2173201
2 大阪府 大阪市 1252983
3 兵庫県 神戸市 608644
4 京都府 京都市 591323
5 愛知県 名古屋市 429997
6 神奈川県 横浜市 422938
7 長崎県 長崎市 176534
8 広島県 広島市 160510
9 北海道 函館区 144749
10 広島県 呉市 130362
11 石川県 金沢市 129265
12 宮城県 仙台市 118984
13 鹿児島県 鹿児島市 103180
14 北海道 小樽区 103113
15 北海道 札幌区 102580
16 福岡県 八幡市 100235
17 福岡県 福岡市 95381
18 岡山県 岡山市 94585
19 新潟県 新潟市 92130
20 神奈川県 横須賀市 89879
   第2回国勢調査 大正14年
人口順位 庁府県 市町村 人口
1 大阪府 大阪市 2114804
2 東京府 東京市 1995567
3 愛知県 名古屋市 768558
4 京都府 京都市 679963
5 兵庫県 神戸市 644212
6 神奈川県 横浜市 405888
7 広島県 広島市 195731
8 長崎県 長崎市 189071
9 北海道 函館市 163972
10 石川県 金沢市 147420
11 熊本県 熊本市 147174
12 福岡県 福岡市 146005
13 北海道 札幌市 145065
14 宮城県 仙台市 142894
15 広島県 呉市 138863
16 北海道 小樽市 134469
17 鹿児島県 鹿児島市 124734
18 岡山県 岡山市 124521
19 福岡県 八幡市 118376
20 新潟県 新潟市 108941

第3回国勢調査 昭和5年
人口順位 庁府県 市町村 人口
1 大阪府 大阪市 2453573
2 東京府 東京市 2070913
3 愛知県 名古屋市 907404
4 兵庫県 神戸市 787616
5 京都府 京都市 765142
6 神奈川県 横浜市 620306
7 広島県 広島市 270417
8 福岡県 福岡市 228289
9 長崎県 長崎市 204626
10 北海道 函館市 197252
11 広島県 呉市 190282
12 宮城県 仙台市 190180
13 北海道 札幌市 168576
14 福岡県 八幡市 168217
15 熊本県 熊本市 164460
16 石川県 金沢市 157311
17 北海道 小樽市 144887
18 岡山県 岡山市 139222
19 鹿児島県 鹿児島市 137236
20 静岡県 静岡市 136481
  
第4回国勢調査 昭和10年
人口順位 庁府県 市町村 人口
1 東京府 東京市 5875667
2 大阪府 大阪市 2989874
3 愛知県 名古屋市 1082816
4 京都府 京都市 1080593
5 兵庫県 神戸市 912179
6 神奈川県 横浜市 704290
7 広島県 広島市 310118
8 福岡県 福岡市 291158
9 広島県 呉市 231333
10 宮城県 仙台市 219547
11 長崎県 長崎市 211702
12 福岡県 八幡市 208629
13 北海道 函館市 207480
14 静岡県 静岡市 200737
15 北海道 札幌市 196541
16 熊本県 熊本市 187382
17 神奈川県 横須賀市 182871
18 鹿児島県 鹿児島市 181736
19 和歌山県 和歌山市 179732
20 長崎県 佐世保市 173283

第5回国勢調査 昭和15年
人口順位 庁府県 市町村 人口
1 東京府 東京市 6778804
2 大阪府 大阪市 3252340
3 愛知県 名古屋市 1328084
4 京都府 京都市 1089726
5 神奈川県 横浜市 968091
6 兵庫県 神戸市 967234
7 広島県 広島市 343968
8 福岡県 福岡市 306763
9 神奈川県 川崎市 300777
10 福岡県 八幡市 261309
11 長崎県 長崎市 252630
12 広島県 呉市 238195
13 宮城県 仙台市 223630
14 静岡県 静岡市 212198
15 北海道 札幌市 206103
16 長崎県 佐世保市 205989
17 北海道 函館市 203862
18 山口県 下関市 196022
19 和歌山県 和歌山市 195203
20 熊本県 熊本市 194139
  

 第2回国勢調査(1925年)では、関東大震災で人口を減らした東京市に代わって第二次市域拡張で大幅に人口を増やした大阪市が首位につく。また1921年に大合併を行った名古屋市が神戸市・京都市をかわして3位となった。
 大阪市に抜かされた東京市は1932年に5郡82町村を編入するという空前の大合併を行って人口を倍以上に増やし、第4回(1935年)で首位を奪還する。またこの時、明治初期には5位だった古都金沢がランク外に去った。呉市が9位にまでのし上がったことにも注目である。
 戦前最後の国勢調査である第5回(1940年)では、工業都市として急成長を遂げたうえに前年に大合併を行った川崎市が一気に9位に飛び込んできたことが注目される。

 5.戦後復興期
人口調査 昭和20年
人口順位 都道府県 市町村 人口
1 東京都 区部 3077010
2 大阪府 大阪市 1102959
3 京都府 京都市 866153
4 神奈川県 横浜市 624994
5 愛知県 名古屋市 597941
6 兵庫県 神戸市 379166
7 福岡県 福岡市 252282
8 宮城県 仙台市 238250
9 北海道 札幌市 220139
10 神奈川県 横須賀市 202038
11 石川県 金沢市 200584
12 北海道 函館市 181531
13 熊本県 熊本市 181128
14 神奈川県 川崎市 180042
15 新潟県 新潟市 174170
16 大阪府 堺市 168348
17 静岡県 静岡市 161720
18 山口県 下関市 155623
19 兵庫県 尼崎市 153051
20 広島県 呉市 152184
   第6回国勢調査 昭和22年
人口順位 都道府県 市町村 人口
1 東京都 区部 4177548
2 大阪府 大阪市 1559310
3 京都府 京都市 999660
4 愛知県 名古屋市 853085
5 神奈川県 横浜市 814379
6 兵庫県 神戸市 607079
7 福岡県 福岡市 328548
8 宮城県 仙台市 293816
9 神奈川県 横須賀市 261805
10 北海道 札幌市 259602
11 神奈川県 川崎市 252923
12 熊本県 熊本市 245841
13 兵庫県 尼崎市 233183
14 石川県 金沢市 231441
15 広島県 広島市 224100
16 北海道 函館市 211441
17 静岡県 静岡市 205737
18 新潟県 新潟市 204477
19 長崎県 長崎市 198642
20 兵庫県 姫路市 197299

第7回国勢調査 昭和25年
人口順位 都道府県 市町村 人口
1 東京都 区部 5385071
2 大阪府 大阪市 1956136
3 京都府 京都市 1101854
4 愛知県 名古屋市 1030635
5 神奈川県 横浜市 951189
6 兵庫県 神戸市 765435
7 福岡県 福岡市 392649
8 宮城県 仙台市 341685
9 神奈川県 川崎市 319226
10 北海道 札幌市 313850
11 広島県 広島市 285712
12 兵庫県 尼崎市 279264
13 熊本県 熊本市 267506
14 石川県 金沢市 252017
15 神奈川県 横須賀市 250533
16 長崎県 長崎市 241805
17 静岡県 静岡市 238629
18 鹿児島県 鹿児島市 229462
19 北海道 函館市 228994
20 新潟県 新潟市 220901
  
第8回国勢調査 昭和30年
人口順位 都道府県 市町村 人口
1 東京都 区部 6969104
2 大阪府 大阪市 2547316
3 愛知県 名古屋市 1336780
4 京都府 京都市 1204084
5 神奈川県 横浜市 1143687
6 兵庫県 神戸市 979305
7 福岡県 福岡市 544312
8 神奈川県 川崎市 445520
9 北海道 札幌市 426620
10 宮城県 仙台市 375844
11 広島県 広島市 357287
12 兵庫県 尼崎市 335513
13 熊本県 熊本市 332493
14 長崎県 長崎市 303724
15 静岡県 静岡市 295172
16 福岡県 八幡市 286241
17 神奈川県 横須賀市 279132
18 石川県 金沢市 277283
19 鹿児島県 鹿児島市 274340
20 静岡県 浜松市 268792

 1945年の終戦直後に行われた人口調査の結果を見ると、第2次世界大戦の影響でほとんどの大都市が大幅な人口減となった。特に原爆の被害を受けた広島市と長崎市はランク外になるが、2年後の第6回国勢調査では再びランクインした。一方で空襲を受けなかった京都市が3位を回復するが、第8回(1955年)になって復興した名古屋市に抜き返されてしまう。また、戦時合併で人口を増やした横須賀市と尼崎市が成長を見せた。なおこの時期には昭和の大合併が行われているが、ランク上位の大都市は戦前に大合併を済ませているため目立った変動は見られない。
 そして戦前に隆盛を極めた軍港都市は早くも衰退を始め、第7回(1950年)に呉市がランク外となり、横須賀市も第7回、8回と次第に順位を下げていった。

 6.高度経済成長期
第9回国勢調査 昭和35年
人口順位 都道府県 市町村 人口
1 東京都 区部 8310027
2 大阪府 大阪市 3011563
3 愛知県 名古屋市 1591935
4 神奈川県 横浜市 1375710
5 京都府 京都市 1284818
6 兵庫県 神戸市 1113977
7 福岡県 福岡市 647122
8 神奈川県 川崎市 632975
9 北海道 札幌市 523839
10 広島県 広島市 431336
11 宮城県 仙台市 425272
12 兵庫県 尼崎市 405955
13 熊本県 熊本市 373922
14 長崎県 長崎市 344153
15 大阪府 堺市 339863
16 静岡県 浜松市 333009
17 福岡県 八幡市 332163
18 静岡県 静岡市 328819
19 兵庫県 姫路市 328689
20 新潟県 新潟市 314528
   第10回国勢調査 昭和40年
人口順位 都道府県 市町村 人口
1 東京都 区部 8893094
2 大阪府 大阪市 3156222
3 愛知県 名古屋市 1935430
4 神奈川県 横浜市 1788915
5 京都府 京都市 1365007
6 兵庫県 神戸市 1216666
7 福岡県 北九州市 1042388
8 神奈川県 川崎市 854866
9 北海道 札幌市 794908
10 福岡県 福岡市 749808
11 広島県 広島市 504245
12 兵庫県 尼崎市 500990
13 宮城県 仙台市 480925
14 大阪府 堺市 466412
15 熊本県 熊本市 407052
16 長崎県 長崎市 405479
17 静岡県 浜松市 392632
18 兵庫県 姫路市 367807
19 静岡県 静岡市 367705
20 岐阜県 岐阜市 358190

第11回国勢調査 昭和45年
人口順位 都道府県 市町村 人口
1 東京都 区部 8840942
2 大阪府 大阪市 2980487
3 神奈川県 横浜市 2238264
4 愛知県 名古屋市 2036053
5 京都府 京都市 1419165
6 兵庫県 神戸市 1288937
7 福岡県 北九州市 1042321
8 北海道 札幌市 1010123
9 神奈川県 川崎市 973486
10 福岡県 福岡市 853270
11 大阪府 堺市 594367
12 兵庫県 尼崎市 553696
13 宮城県 仙台市 545065
14 広島県 広島市 541998
15 大阪府 東大阪市 500173
16 千葉県 千葉市 482133
17 熊本県 熊本市 440020
18 静岡県 浜松市 432221
19 長崎県 長崎市 421114
20 静岡県 静岡市 416378
  
第12回国勢調査 昭和50年
人口順位 都道府県 市町村 人口
1 東京都 区部 8646520
2 大阪府 大阪市 2778987
3 神奈川県 横浜市 2621771
4 愛知県 名古屋市 2079740
5 京都府 京都市 1461059
6 兵庫県 神戸市 1360605
7 北海道 札幌市 1240613
8 福岡県 北九州市 1058058
9 神奈川県 川崎市 1014951
10 福岡県 福岡市 1002201
11 広島県 広島市 852611
12 大阪府 堺市 750688
13 千葉県 千葉市 659356
14 宮城県 仙台市 615473
15 兵庫県 尼崎市 545783
16 大阪府 東大阪市 524750
17 岡山県 岡山市 513471
18 熊本県 熊本市 488166
19 静岡県 浜松市 468884
20 鹿児島県 鹿児島市 456827

 地方都市が成長し、六大都市の牙城が崩れていく時期である。
 まず1963年に北九州市が誕生した。北九州市は第10回国勢調査(1965年)では7位につけて神戸市との差を詰めたものの、石炭産業衰退と「鉄冷え」の影響を受けてその後は低迷する。代わって札幌市、川崎市、福岡市が成長しいずれの都市も第12回(1975年)までに百万都市となった。また1967年に3市合併で誕生した東大阪市が第11回(1970年)で15位につけた。
 その一方で、おなじみのドーナツ化現象によって東京と大阪市の人口が減少した。広大な市域で人口を吸い取った横浜市が成長して大阪市に迫ったほか、東京近郊の千葉市が第12回で13位に至るまでに成長した。

 7.安定成長期
第13回国勢調査 昭和55年
人口順位 都道府県 市町村 人口
1 東京都 区部 8351893
2 神奈川県 横浜市 2773674
3 大阪府 大阪市 2648180
4 愛知県 名古屋市 2087902
5 京都府 京都市 1473065
6 北海道 札幌市 1401757
7 兵庫県 神戸市 1367390
8 福岡県 北九州市 1088588
9 福岡県 福岡市 1065078
10 神奈川県 川崎市 1040802
11 広島県 広島市 899399
12 大阪府 堺市 810106
13 千葉県 千葉市 746430
14 宮城県 仙台市 664868
15 岡山県 岡山市 545765
16 熊本県 熊本市 525662
17 兵庫県 尼崎市 523650
18 大阪府 東大阪市 521558
19 鹿児島県 鹿児島市 505360
20 静岡県 浜松市 490824
   第14回国勢調査 昭和60年
人口順位 都道府県 市町村 人口
1 東京都 区部 8354615
2 神奈川県 横浜市 2992926
3 大阪府 大阪市 2636249
4 愛知県 名古屋市 2116381
5 北海道 札幌市 1542979
6 京都府 京都市 1479218
7 兵庫県 神戸市 1410834
8 福岡県 福岡市 1160440
9 神奈川県 川崎市 1088624
10 福岡県 北九州市 1056402
11 広島県 広島市 1044118
12 大阪府 堺市 818271
13 千葉県 千葉市 788930
14 宮城県 仙台市 700254
15 岡山県 岡山市 572479
16 熊本県 熊本市 555719
17 鹿児島県 鹿児島市 530502
18 大阪府 東大阪市 522805
19 静岡県 浜松市 514118
20 兵庫県 尼崎市 509115

第15回国勢調査 平成2年
人口順位 都道府県 市町村 人口
1 東京都 区部 8163573
2 神奈川県 横浜市 3220331
3 大阪府 大阪市 2623801
4 愛知県 名古屋市 2154793
5 北海道 札幌市 1671742
6 兵庫県 神戸市 1477410
7 京都府 京都市 1461103
8 福岡県 福岡市 1237062
9 神奈川県 川崎市 1173603
10 広島県 広島市 1085705
11 福岡県 北九州市 1026455
12 宮城県 仙台市 918398
13 千葉県 千葉市 829455
14 大阪府 堺市 807765
15 岡山県 岡山市 593730
16 熊本県 熊本市 579306
17 鹿児島県 鹿児島市 536752
18 静岡県 浜松市 534620
19 千葉県 船橋市 533270
20 神奈川県 相模原市 531542
  
第16回国勢調査 平成7年
人口順位 都道府県 市町村 人口
1 東京都 区部 7967614
2 神奈川県 横浜市 3307136
3 大阪府 大阪市 2602421
4 愛知県 名古屋市 2152184
5 北海道 札幌市 1757025
6 京都府 京都市 1463822
7 兵庫県 神戸市 1423792
8 福岡県 福岡市 1284795
9 神奈川県 川崎市 1202820
10 広島県 広島市 1108888
11 福岡県 北九州市 1019598
12 宮城県 仙台市 971297
13 千葉県 千葉市 856878
14 大阪府 堺市 802993
15 熊本県 熊本市 650341
16 岡山県 岡山市 615757
17 神奈川県 相模原市 570597
18 静岡県 浜松市 561606
19 鹿児島県 鹿児島市 546282
20 千葉県 船橋市 540817

 まず第13回(1980年)に大きな変化が起こる。札幌市が6位に浮上したことで、約90年間保たれた六大都市の枠組みが崩壊するに至った。さらに横浜市が大阪市を抜いて2位となった。
 また第15回(1990年)には、東京のベッドタウンとして人口を増やした船橋市と相模原市がランクインした。そして東京の人口は減少を続けているが第16回(1995年)で底を打つ。

 8.平成期
第17回国勢調査 平成12年
人口順位 都道府県 市町村 人口
1 東京都 区部 8134688
2 神奈川県 横浜市 3426651
3 大阪府 大阪市 2598774
4 愛知県 名古屋市 2171557
5 北海道 札幌市 1822368
6 兵庫県 神戸市 1493398
7 京都府 京都市 1467785
8 福岡県 福岡市 1341470
9 神奈川県 川崎市 1249905
10 広島県 広島市 1126239
11 福岡県 北九州市 1011471
12 宮城県 仙台市 1008130
13 千葉県 千葉市 887164
14 大阪府 堺市 792018
15 熊本県 熊本市 662012
16 岡山県 岡山市 626642
17 神奈川県 相模原市 605561
18 静岡県 浜松市 582095
19 鹿児島県 鹿児島市 552098
20 千葉県 船橋市 550074
   第18回国勢調査 平成17年
人口順位 都道府県 市町村 人口
1 東京都 区部 8489653
2 神奈川県 横浜市 3579628
3 大阪府 大阪市 2628811
4 愛知県 名古屋市 2215062
5 北海道 札幌市 1880863
6 兵庫県 神戸市 1525393
7 京都府 京都市 1474811
8 福岡県 福岡市 1401279
9 神奈川県 川崎市 1327011
10 埼玉県 さいたま市 1176314
11 広島県 広島市 1154391
12 宮城県 仙台市 1025098
13 福岡県 北九州市 993525
14 千葉県 千葉市 924319
15 大阪府 堺市 830966
16 静岡県 浜松市 804032
17 新潟県 新潟市 785134
18 静岡県 静岡市 700886
19 岡山県 岡山市 674746
20 熊本県 熊本市 669603

第19回国勢調査 平成22年
人口順位 都道府県 市町村 人口
1 東京都 区部 8945695
2 神奈川県 横浜市 3688773
3 大阪府 大阪市 2665314
4 愛知県 名古屋市 2263894
5 北海道 札幌市 1913545
6 兵庫県 神戸市 1544200
7 京都府 京都市 1474015
8 福岡県 福岡市 1463743
9 神奈川県 川崎市 1425512
10 埼玉県 さいたま市 1222434
11 広島県 広島市 1173843
12 宮城県 仙台市 1045986
13 福岡県 北九州市 976846
14 千葉県 千葉市 961749
15 大阪府 堺市 841966
16 新潟県 新潟市 811901
17 静岡県 浜松市 800866
18 熊本県 熊本市 734474
19 神奈川県 相模原市 717544
20 静岡県 静岡市 716197
  
第20回国勢調査(速報値) 平成27年
人口順位 都道府県 市町村 人口
1 東京都 区部 9272565
2 神奈川県 横浜市 3726167
3 大阪府 大阪市 2691742
4 愛知県 名古屋市 2296014
5 北海道 札幌市 1953784
6 福岡県 福岡市 1538510
7 兵庫県 神戸市 1537860
8 神奈川県 川崎市 1475300
9 京都府 京都市 1474570
10 埼玉県 さいたま市 1264253
11 広島県 広島市 1194507
12 宮城県 仙台市 1082185
13 千葉県 千葉市 972639
14 福岡県 北九州市 961815
15 大阪府 堺市 839891
16 新潟県 新潟市 810514
17 静岡県 浜松市 798252
18 熊本県 熊本市 741115
19 神奈川県 相模原市 720914
20 岡山県 岡山市 719584

 平成の大合併が行われた時期である。
 第18回(2005年)には、4市合併で生まれたさいたま市[2]が10位に入ったほか、周辺地域を大規模に呑み込んだ新潟市が第9回(1960年)以来のランクインを果たした。近年は東京への都心回帰と福岡市の成長、京都市の低迷が目立っている。
 今では上位20都市は全て政令指定都市となり、1889年に40631人だったボーダーは2015年には719584人となった。


    注釈
  1. ^ 『日本地誌提要』本文中の記載によると人口のデータは明治六年のものを用いているそうだが出版は明治八年であり、一部のデータが明治八年の『共武政表』と共通している可能性がある。
  2. ^ 背景を異とする複数の異質な都市を無理に合体させた醜悪な市であり、今すぐ解体されるべきである。

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